診察時に体重を落とすように指示されても、肥満による膝の痛みで運動をすることができないと訴える方が多くいらっしゃいます。そこで、介護老人保健施設「つねずみ」の理学療法士に聞きました。
膝痛の多くは変形性膝関節症
 この治療法は、生活改善の指導(肥満の改善、動作指導など)、薬物療法(抗炎症薬、湿布薬、注射など)、運動療法(筋力トレーニングなど)、温熱療法、装具療法、関節内洗浄法、手術療法と様々です。
 但し、慢性関節リウマチや半月板や靭帯の損傷など変形性膝関節症による痛みでない場合もあります。運動する前に炎症の治療をしなければならない場合もあります。まずは、整形外科医の診断を受けましょう。
膝関節の構造
 膝関節の構造は、骨と骨との合わさる面は関節軟骨で覆われ、関節軟骨との間には半月板という安定性とクッションの役割をする軟骨があります。更に、靭帯や筋肉で支えられ、血管や神経で栄養や指令を送ります。そして、関節をすっぽりと関節包で覆い、この中を滑液という潤滑油で満たし、関節の動きを滑らかにしています。この滑液は、関節包の内側の滑膜から分泌されます。
なぜ運動が大切か
 変形性膝関節症と診断された場合、概ね、「運動しましょう」「痩せましょう」と主治医から指示されることでしょう。何故、運動したり、痩せたりすることが必要なのでしょう?変形性膝関節症の最大の原因は加齢に伴う関節軟骨の老化といわれています。これを助長するのは、筋力の低下であり、肥満による負担なのです。膝には、歩くだけで体重の3倍の負担がかかります。例えば、体重50キロの人が歩くと150キロ、5キロ太ると165キロの重さが膝にかかります。しかし、「膝が痛いのにどのように運動すればいいの?」「痩せるといっても運動は痛くて無理だな」とどうしても痛みが伴うと動くことすら億劫になりがちです。すると、膝を支えている筋肉が弱り、関節軟骨のクッションにかかる負担が更に大きくなります。
まずは痛くない運動から
 最初は@ストレッチング、次にA関節運動とB筋力トレーニング、そしてC少しずつ歩き、歩く距離を増やします。Dまた、水中ウォーキングも効果的です。併せて、E膝に負担を大きくかける動作の改善を行います。

【@ストレッチング】

 床に膝を伸ばして座り、膝蓋骨(お皿)を動かします。前後左右、左右斜め下から、各5秒ずつ3〜5回行います。反対側も同様に。膝が伸びない方は座布団などを膝の下に敷いて下さい。次に、ゆっくり前屈をします。ももの裏の筋肉を伸ばします。痛い手前で止め10秒を3回行います。お風呂で膝をよく温めてから行うと効果的です。
【A関節運動】

 椅子に座って、足の裏でボールを前後左右に転がします。ボールなしで同様に動かしてもいいでしょう。また、湯船の中で立ち、浴槽につかまりながらお湯をかき回すように動かすのもいいでしょう。次に、タオルを丸めて動かす方のももの下に置き、ゆっくり膝の曲げ伸ばしを10回行います。反対側も同様に。
【B筋力トレーニング】

 床に膝を伸ばして座る。または椅子に座り、ボールを膝の間に挟みます。(ボールはバレーボールやビーチボールが好ましい)ボールをギューっと5秒つぶし、ゆっくりと緩めます。これを10回行います。次に、テーブルなどにつかまって立った姿勢で、ボールを膝に挟んだまま軽く膝を曲げ伸ばしします。これも10回行います。
【C歩 く】

 @〜Bを行いながら、少しずつ、痛みが強くならない程度に歩きます。個人差がありますので、自分の続けられる程度から始めます。靴はウォーキングシューズを選びましょう。20分〜30分歩けることを目標に取り組んでください。このくらいの時間歩けるようになると有酸素運動による脂肪燃焼効果が期待できます。

【D水中ウォーキング】

 A〜Cを一緒に行えるので、最も効率的かつ効果的です。膝への負担も少なく、色んな筋肉を万遍無く鍛えることができます。前歩き、後ろ歩き、横歩き、駆け足など行いましょう。少しずつ始めて20分〜30分を目標にして下さい。

【E動作の改善】

 正座やあぐら、しゃがむといった動作は、膝を深く曲げ、関節に大きな負担をかけます。正座補助具、椅子、洋式トイレ、ベッドを使用しましょう。
 階段は1段ずつ上り、痛みの少ない方の足から上り、痛みの強い方の足から下りましょう。
 荷物は、できるだけカートなどのキャスターつきバックを使用しましょう。
 まずは、「できることからコツコツと」、目標は20分〜30分の運動を目指してチャレンジして下さい。これは、即効薬ではありませんので、じっくり焦らず取り組んでください。
(理学療法士  足利)